appendix1.ちょっと上手い人のための成功率向上のヒント

ふりけんや飛行機がそれなりにできるようになると、
もう少し成功率を上げたいと思ってくるはずです。

準初段試験では、ふりけんも飛行機も、10回のうち5回成功させる必要があります。
2回に1回は成功する状態になっていないと準初段には合格できません。
実際の試験では緊張するので、もっと成功率を上げないとだめでしょう。
その後、高段位の名人に近づいていくと、地球まわしやはねけんを10回のうち6回成功させることが必要になります。
地球まわしやはねけんは、ふりけん、飛行機の成功後に行う技ですので、最初でミスをしているようでは成功できるはずがありません。
成功率を上げていくことについて考える必要があります。

このコラムでは、成功率を上げていくための次の一歩を示すことを目標にします。

結論

けん玉が動く範囲を狭くすること

解説

けん玉が動く範囲とは何か。
こういう図で考えましょう。

けん玉ロボのいちろー君がけん玉を構えています。
体の前に四角い枠がありますね。

けんを原点とします。
そして、次のように設定します。
X軸:左右方向
Y軸:自分とけん玉との方向(前後、または奥行の方向)
Z軸:上下方向

範囲とは、X軸方向とY軸方向で囲われる範囲です。
つまり、X軸方向とY軸方向になるべく動かさずに技を行う方が、成功率が上がるという事です。

この場合、持っているけんだけではなく、紐でつながっている先の玉までを含めて範囲と考えていることに留意をしてください。
例えば、ふりけんをする際を考えてみましょう。
けんは手で固定して持つので、手が動く範囲以上に動かすことはできません。
しかし、玉は紐に繋がって動くので、紐の長さ分Y軸方向に動くことができます。
これをなるべく狭い範囲内に留まるように技を行う事、これが範囲の考え方で、成功率を上げるための一歩になります。

なぜか。
例を交えて説明しましょう。

距離感を把握することの難しさ

クレーンゲームを考えてみましょう。
ゲームセンターにあるこういうやつです。

2つのボタンで遊ぶタイプを想定しています。
ボタンは次の二つです。
・クレーンを右から左(または左から右)に移動させるボタン
・手前から奥(または奥から手前)に移動させるボタンです。

では次です。
合わせるのが難しいのはどちらでしょうか?
・左から右という横の位置
・手前から奥という前後(奥行)の位置

前後(奥行)の方が合わせるのが難しいはずです。
前後の距離感が掴みづらいことが理由です。
奥行きを合わせる際に、クレーンゲームを横からのぞき込んだりすることもあります。
この動きは理にかなっています。
前後の距離感を掴むことが難しいため、横から見ることによって、位置関係を前後から左右に変換しているのです。

けん玉の距離とは

さて、けん玉に戻りましょう

ふりけんや飛行機で、玉やけんを前に振って、戻ってくる玉やけんを受けます。
その際、前に振ったけんや玉がy軸方向に離れれば離れる程、成功させにくくなります。
クレーンゲームと同じです。
距離感が掴みづらいからです。

けんや玉はクレーンゲームのように一定方向に、一定スピードで戻ってくるわけではありません。
戻ってきたものの距離、位置、スピード、回転などを把握し、それらから剣先や玉の穴で受けるまでに慣性によって進むであろう位置を的確に予測し、実際にその位置に体を動かしていかなければなりません。
実に難しいことを行っているわけです。

これを少しでも簡単にするためにどうするか。
ここで、範囲の話が出てきます。

範囲を限定することで、難しさを構成する要素のいくつかを排除しているのです。
範囲の限定ができないと、難しいものを、難しいやり方でやることになり、当然の結果として失敗が多くなってしまうのです。

範囲はどの程度限定するのか

狭ければ狭いほど良いと思ってください。
理想は上下方向(垂直方向)のみに動く事です。

x軸軸方向はともかく、y軸方向に動かさないためのコツは上下の動きの中で、y軸方向に向かう力を消してしまう事です。
そのために膝を使う必要があります。
玉を受ける時だけではなく、振り出す際にも膝を使えるようになると、範囲の限定もできますし、けんや玉のコントロールも上達してきます。

図の中にも記載をしました。

技は、前後左右に狭く、上下に広くとって行う事。

これが上達の決め手です。
けん玉に慣れていない方は逆に、前後左右に広く、上下に狭く行っている場合が多いです。

どういう練習をしていくか

有名な練習法として、壁を向いて練習する方法があります。

腕を真っすぐ伸ばし、壁に手の平をつけると、腕の距離分壁から離れます。
その方法で自分と壁との間にできた距離(腕の長さ分)の中で、ふりけんや飛行機を練習するのです。

最初は壁に当たると思います。
それは前に振り出し過ぎだからです。

壁に当たらずにできるように練習しましょう。
これができるようになれば、次の一歩に進めたものとして考えて良いと思います。

まとめ

このコラムではちょっと上手い人のためのヒントを記載しました。
以下の3点を意識してみることで、グンと上達し、成功率が上がることと思います。
是非取り組んでみてください。

・けん玉の技を行う際に、けん玉が動く範囲を狭くすること
・左右には狭く、上下に広くすること
・壁を向いて練習してみよう